6月頃、道路を横断する可愛いカルガモ親子を警察官が誘導した、ほほえましいニュースが流れた事があります。
あの道路の横断は、ある意味風物詩と言ってもいいでしょう。
一方、4月頃に良く見られる光景の一つに、道路を横断する大きい茶色の毛虫の姿もあります。
しかし、いくらけなげに必死にアスファルトの上を、カルガモの何倍の力で横断している姿でも、ほほえましい光景には見えないのは、同じ生き物として不公平な気もします。
何のニュースにもなりません。
それはそうと、この茶色の、大きくてもこもこの毛虫は、とにかく動きまわります。
春先や夏は餌を探して道路を横断し、秋は冬眠先を探して動き回ります。
実はこの茶色の毛虫の動き回る様子を撮った動画が、動画サイトの再生回数が多く、密かに人気の毛虫なのです。
いったいその毛虫の正体はなんなのでしょう!詳しくご説明いたします。
大きい茶色の毛虫の正体
日本全国で確認されるだけではなく、ユーラシア大陸や北アメリカでも生息が確認されているこの茶色い大きい毛虫の正体は、クマケムシといます。
チョウ目ヒトリガ科に属する蛾のヒトリガという蛾の幼虫です。
成虫の姿は、茶色に白の縞が入る、まるでトラをイメージさせる模様から、英名をtiger moth(タイガーモス)もしくはgarden tiger moth(ガーデンタイガーモス)と呼ばれます。
まさに庭に住む虎として、ガーデニングを趣味とする人にあまり好まれてはいません。
というのも、このメスは産卵場所にこだわりがなく、とにかくどこにでも産卵します。
生まれるクマケムシは広食性で、とにかく手当たり次第に草を食べてしまいます。
そして、周りに草がなくなると移動をします。
これが道路を渡る理由です。
成虫よりも、私達はクマケムシの方をよく見かけるのはこのためです。
茶色の毛虫のふさふさの毛は触ってもいいの?
成虫はタイガーですが、幼虫時代はまさに熊のように毛で覆われています。
英国では成虫名とは違い幼虫時代はwoolly bear(毛深い熊)と呼ばれます。
毒は無く危険ではありませんので、触れても大丈夫です。
小さい茶色の毛虫って?
大きい毛むくじゃらの毛虫は見た目でわかりやすいのですが、小さい茶色の毛虫にはご注意下さい。
もしかしたらそのケムシは「チャドクガ」の幼虫かもしれません。
この幼虫は要注意のケムシです。
卵の時から毒を持っていて、毒針毛に刺されるとヒリヒリとした痛みと強いかゆみが続きます。
薄い茶色のチャドクガの幼虫は集団で行動します。
絶対に近寄ってはいけません。
まとめ
毛虫の毒はハチに刺された時の様に直ぐに反応するのではなく、刺された痛みはほとんど無い場合が多く、後になって酷い事になります。
クマケムシは無毒ではありますが、誤ってチャドクガの幼虫に触れたりしたら大変ですので、出来る限り触れないようにする方がよいと思います。